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2016年5月13日(金)  
No.84 本当に正しい足のケア     高山かおる                家の光協会   


 「Being stylish requires endurance. ( オシャレは我慢 )」

 薄着による身体の冷えやカッコイイ(?)靴による足への負担を我慢してでもオシャレをする。 このことを身体に悪いからといって単純に否定出来るでしょうか? オシャレをして、より良い異性をゲットすることで種を保存する。 人は何のために生まれて生きるのかというジャンルの問題になってきます。

 遠絡療法では大抵の場合足指の施術が含まれますので、これまでヒトの足指をたくさん診てきました。 その中で高齢の女性で足指に目立った変形や病変のある方にお訊きしてみると、多くの方がその昔ハイヒールとダンスに親しんだ経験をお持ちのようでした。 若い頃の多少無理なオシャレのツケがそんな風に回って来るのかと思わされます。 

 本書では足のトラブルがやがて身体全体に深刻な影響を及ぼしたり、高齢者の転倒の危険を増したりする恐れがあると指摘します。 そして日頃の足のセルフケアの大切さと、エクササイズや爪切り、角質ケアなど具体的な足のケアの方法を丁寧に教えてくれます。 

 

2016年4月 1日(金)
No.83 座らない!            トム・ラス                   新潮社

 「座り続けるのは喫煙より体に悪い?」

 著者のTom Rathは健康を支える3要素 「食べる」、「動く」、「眠る」に関する、ありとあらゆる最新の研究報告を世界中から収集・分析する人間行動学の専門家で、ストレングスファインダーで知られる米国ギャラップ社に在籍しながら、ビジネス本の世界的なベストセラー作家でもあります。

 彼は16歳の時、ガン抑制遺伝子が機能しない為に様々なガンを発症してしまうというフォン・ヒッペル・リンドウ病(VHL病)であることが判明して、人生が大きく変わりました。 早死にしないために自分にできることは何でもする。 多くの知識を得て日々の暮らしの中でそれらを実践してゆく。 生きる戦いの中で培われた彼のノウハウはビジネスの世界で成功をつかむことにもつながるものでした。

 原題は「EAT MOVE SLEEP How Small Choices Lead to Big Changes」 座らない事だけにこだわっているわけではなく、3要素それぞれ小さな良い習慣の積み重ねが大切であることをとても具体的に説いています。
 
2015年8月30日(日)
No.82 梅干し力               宇都宮洋才              主婦の友

 「梅干し・小梅漬け」
 
 今年、あるお宅の庭に育った農薬を使用しない完熟の梅を頂戴したので、久しぶりに梅干しを作りました。 ついでに前から作ってみたいと思っていた小梅のカリカリ漬けにも挑戦。 小梅漬けのカリカリ具合だけ残念な出来栄えだったものの、それでもとてもおいしい、しょっぱい梅干しができました。 7月半ばから約ひと月続いた猛烈な暑さをなんとか無事に過ごせたのはこの梅干しのおかげでした。

 あらためて、梅干しの効能について調べてみると、「熱中症予防効果」や「夏バテ防止効果」はもとより、虫歯予防から糖尿病予防、高血圧、インフルエンザ、胃炎・胃潰瘍・胃がん、動脈硬化、ダイエットなどなど、、、何から何までいいことづくめなのだと宇都宮先生は言います。 もちろんこれらの効能は科学的なエビデンスによってしっかり裏付けられています。

 理想を云えば、自宅の庭に梅の木があって毎年実る梅で梅干しを作って、それが毎日の食卓に並ぶ、これが出来るお宅はじつにうらやましい。 

2015年4月8日(水)
No.81 ネット依存から子どもを救え            遠藤美季 / 墨岡孝          光文社   

 「デフォルトモードネットワーク=DMN (基底状態の活動) 」

 インターネットの悪影響について、ウインドウズ95が発売されたわずか2年後、1997年にはすでに米国の精神医学者イヴァン・ゴールドバークによって 「Internet Addiction Disorder」 の理論づけが行われています。 四六時中モバイル機器とつながることが心身に及ぼす悪影響は様々挙げられますが、最近は脳研究の最前線からDMNへの障害が指摘されるようになりました。 

 後部帯状回、前頭葉、海馬などが同期・連携したDMNの活動は、本人は一見何もしていないような時に、自分自身について認識したり、記憶を整理したりする無意識下の働きで、相当なエネルギー消費を伴う重要な活動らしいことが分かってきました。 
モバイル機器の長時間使用は心身を休ませないだけではなく、何もしていない時に行われる無意識の大事な活動を邪魔してしまうわけです。 

 極めて楽観的な見方をすれば、今までの便利なものがそうだったように、時間を経ればモバイルとの距離を適切に保ちながら便利さを享受する知恵が定着してゆくのかも知れません。  しかし現況は、特に子供たちの世代で極めて深刻です。 本著では大人たちが持つべき認識と、子どもたちへの関与について警鐘が鳴らされています。

2015年2月 1日(日)
No.80 私はなぜ80歳でエベレストを目指すのか          三浦雄一郎           小学館

 「舌出し体操」

  経絡はどこから始まるのか? そもそも循環する経絡に起点などあるのかという見解も含めて、このことについては様々な説があります。 その中に「経絡は舌から始まる」とする説があり、これは脳幹部等から発する12脳神経との関連も覗わせる説ですが、 舌には味覚や嚥下、発音などの他にも大切な役目があるのかも知れません。

 本著の中で三浦さんは、父上の三浦敬三氏が残した最高の財産が「舌出し体操」であると述べています。 舌を大きく出す 「舌出し体操」 がどのように身体に作用するのか詳しくは分かりませんが、敬三氏と三浦さんが長く実践して、その効果を実感しておられる事実は見逃せません。 2009年にこの本棚で取り上げた「あいうべ体操」のように、口呼吸を防ぐことで免疫力を向上させたり、脳の血流を増やしたりする効果を思い出します。

 2013年5月 三浦雄一郎さんのエベレスト登頂前後、私が毎朝走る近所の公園では運動する年配の方々があきらかに増えました。 その三浦ブームは残念ながら一過性のようでしたが、当時80歳でエベレストに登るというインパクトはとても大きかった。 
三浦さんのように世界一を目指すのでなくても、何か目標をもって日々暮らすことが出来ればありがたい。

2014年12月3日(水)
No.79 筋肉革命 ~ 人生を楽しむ体のつくり方        石井直方          講談社

 「スロートレーニング」

 鍼灸の世界には 「不通即痛、通即不痛」=「流れが悪い処に痛みが生じて、流れが改善されれば痛まない」 という言葉があります。 流れを正常に戻すために 、鍼や灸を使って経絡を調整することで症状の改善を図るわけですが、この流れを血流に置き換えてみると、本著で紹介される 「スロートレーニング」 ではこの原理を逆手にとり、あえて血流を止めて代謝物質を筋肉に留めます。 その事によって、少ない運動量をあたかも激しい運動をしたかのように脳に錯覚させることが出来るとしています。 ゆっくりとした動作で、関節を固定せずに (ノンロック運動) 動かすことで、激しく長時間の運動をしたのと同じように筋肉を強化できるというわけです。

 最近の研究では、身体の中で筋肉が果たしている役割には、直接脳を刺激する仕組みがあることが明らかになってきており、筋肉の強化はロコモーティブシンドロームやメタボリックシンドロームのリスクを軽減するだけでなく、認知症の予防にも役立つことが期待されています。 

 水曜と土曜の週2日。 続けることを最優先にして始めたスロトレは、なるべく楽しく、無理をしないをモットーにしていますが、ゆっくりとした動作は本当にキツイ。 
思わず唸り声が出てしまいます。

 
2014年10月9日(木)
No.78 人体 ~ ミクロの大冒険         NHKスペシャル取材班         角川書店

 「バイオイメージング」

 人間の身体の中で起こる様々な現象を、鮮明な映像で映し出すバイオイメージング技術は、今では一般のテレビなどで目にする機会も増えています。 高性能の顕微鏡や最先端の蛍光技術などを駆使したバイオイメージングは、リアルタイムで生殖細胞の分裂の様子を見たり、老化して死にゆく細胞を捉えることなど様々な応用が可能です。

 今年の6月に、ある講演で見た、膝の近くにある「陽陵泉」というツボに鍼を刺してしばらく振動させると、腰の神経を栄養する血管で、それまで滞留していた血液が次第に勢いよく流れだす様子をとらえた動画にはとても驚かされました。 この血流の改善によって、足腰の痛みや痺れの症状が緩和されるわけですが、離れた場所に刺した鍼が患部の血管に作用する様子が目で見て分かるのですから凄い。 
 

 まだ、その鍼の刺激が作用するメカニズムが詳しく解明された訳ではありませんが、こうした技術で検証を積み重ねていけば、やがて鍼灸の科学的根拠がはっきり分かり、より合理的な方法論に結びつく期待が持てます。  今まで何となくイメージだけで考えていた事柄が、リアルな映像として見られる時代なんですね。

                                        
2014年8月16日(土)
No.77 患者よ、がんと闘うな                  近藤 誠          文藝春秋

 「地獄への道は善意で舗装されている」

 自分が「がん」に犯されていると分かった時、さて、どう対処するべきか? 
専門家にすべてを委ねて、その治療方針に従い 「がんと闘う」。  そうした従来のがん医療に疑義をとなえた本著は大きな反響を呼び、一部のがん患者にとっての福音となりました。 著者はその後、関連の著作をたくさん出版していますが、近著によれば医療現場の変化は出版当時と比べてわずかでしかないと述べています。

 命にかかわる事態に直面して、混乱し、恐れおののき、何とか救われたいと切望する患者や家族にとって、信頼できる医療機関は何ものにもかえ難い存在に思えます。  がんと闘うという通念は医療側の人間が医療側のために作り上げたもの、とする本著の指摘からすれば、治療の是非について、患者や家族が充分に検討できることなく、そして医療側も充分に自覚することなく行われる 「がんとの闘い」 って何なんでしょう?
 仮に、医療の専門家が常に患者のために良かれと思い最善を尽くして治療するとしても、その善意の行きつく先に何が待っているのかは、ちゃんと自分で考えなければいけませんよ、と近藤先生は教えます。 

 近年、近藤先生は慶応を定年退職されてセカンドオピニオン外来を開設されたとのこと。 医療の本流からは敬遠ないし無視され続けた近藤先生の主張ですが、それは確固たる存在感を示しています。

2014年6月8日(日)
No.76 朝、起きてすぐの歯みがきが、あなたを守る        川合 満     メディアファクトリー

 「朝の歯みがきは起きてすぐか?朝食後か?」

  朝の歯みがきをいつすればいいか? 些細なことのようにも思えますが、実は案外、健康と深くつながります。 この事については 「どちらかで良い」、「食後は酸が出てるからダメ」、「前後とも磨く」、「磨き過ぎはダメ」 などなど、、、、歯の専門家の間でも微妙に意見が分かれています。
 睡眠中、ほとんど唾液の分泌されない口の中では消化管由来の細菌が増殖し、その細菌の出す 「タンパク分解酵素プロテアーゼ」 がウイルス表面の突起に作用して人体へのウイルス感染を容易にしてしまうというメカニズムが解明されており、これによって感染症にかかる確率をぐっと高めることになってしまいます。  

 風邪やインフルエンザへの感染は免疫力を低下させ、その他の病気の引き金にもなる、まさに万病の元です。 本著のタイトルは、それを防ぐ手立てとしての 「歯みがき」 は朝起きてすぐがいいと云っています。  この歯みがきの実践によって、著者の医院を訪れる患者のインフルエンザ罹患率が激減したというお話しにはとても説得力があります。

 もちろん歯みがきの効果は磨き方によりますから、ちゃんと磨けているかどうかが大事なのは云うまでもありません。

2014年5月18日(日)
No.75 医学的根拠とは何か               津田敏秀              岩波新書


 「定量的に表すことの意味」

 「日本人の喫煙率は下がり続けているのに、肺がんの発症率は上昇しているのだから、タバコは肺がんの真の原因ではない」  これは某一流雑誌に掲載された、ある著名な医学研究者の発言です。 影響力のある先生の発言につい騙されそうになってしまいますが、これはデータの裏付けがない真っ赤なウソです。 医学的根拠のかけらもありません。
 様々な公害事件や薬害事件で、原因と考えられる物質と病気との因果関係について、普通に考えればどう見ても明らかなのに、専門家による調査では医学的根拠が不明として患者の認定や行政措置が延々と進まない例がたくさんあります。 これは医学的根拠と云われるものが日本でどのように扱われているかをよく表しています。
 経験重視で職人的カン頼みの「直感派」と、実験重視で人間を見ない「メカニズム派」ばかりが幅を利かせて、疫学的方法論で解析する数量化派が軽視されるという現状が医学的根拠の混乱を生んでいると著者は指摘します。

 実験室にこもっての遺伝子や細胞研究だけでなく、人間を相手にする臨床研究や教育がもっと活発に行われなければ、病気になった時に頼りになる医師を見つけるのはますます困難になってしまうのかも知れません。

2014年4月3日(木)
No.74 クレージー・ライク・アメリカ           E.ウオッターズ            紀伊国屋書店


 「心の病はいかに輸出されたか」

 製薬会社と医療機関の癒着について、丸抱えの研究で行われるデータの改竄や副作用の隠蔽などがこのところ毎日のように報道されています。 あまりにも件数が多くてどれがどの会社だったのか、ひっきりなしの報道もスポンサーに気を使いながらでは、かえってあまり目立たなくなったりします。
 研究費、講演の謝礼、接待費なども含んだ、日本だけでも年間9兆円を超すマネーは、やがて薬価として我々に請求が回ってきます。 

 製薬会社が販売を増やすことと、病院が経営を安定させることは 「患者の数を増やせばいい」 という共通点がありますから、そのために医療側が診断基準を設定し、薬を飲めば治せる病気のイメージをテレビなどで植え付けていきます。  本著では香港の拒食症、スリランカのPTSD、ザンジバルの統合失調症、そして日本における 「うつ病」 をターゲットにして巨大製薬会社がどんな戦略で 「精神の病の市場」 を作り上げていったのかを教えてくれます。 

 たしかに薬は人を助けることも出来ます。 莫大な研究開発費をかけて作り出すには利益追求もやむを得ないのかも知れません。 でも、どこか怪しい。 患者としてはせめて、自分が飲まされる薬にどんな背景があるのかを知っておきたい。 

2014年3月5日(水)
No.73 「いい人」はなぜガンになりやすいのか        最上 悠        青春出版社

 
 「性格とかかりやすい病気」

 人の性格とかかりやすい病気に関して、これまで多くの研究が行われています。

 ◎心臓疾患にかかりやすい攻撃的なタイプA。
 ◎同じく心臓疾患やメタボ、うつ病などを発症しやすいストレスに弱いタイプD。
 ◎本著のタイトルのガンになりやすい「いい人」、すなわち自分より他人を優先させたり、頼まれ事を断れないタイプC。
 ◎比較的病気のリスクが少なく安定・信頼の人とされつつも近年、認知症のリスクを指摘されているタイプBなどなど。
 個人差が大きく複雑ではあるものの、性格に由来する状況や環境にたいする対応の違いは、身体が被るダメージの違いでもあり、長い年月の間に性格に由来するかかりやすい病気として現れてくるようです。

 性格は簡単には変えられない。 それに皆が皆タイプBの人ばかりでは世の中つまらなそうです。 確かに急に、大きく性格は変えられないかも知れませんが、自分の性格をよく知り、そこから生じやすいリスクを知ることで、そのリスクを回避したり軽減する方法を身につけることは出来るはずです。

2014年1月31日(金)
No.72 1日1分のシコトレで股関節からカラダが整う!    元・一ノ矢        青春出版社    

 「何故、股関節なのか?」

 股関節は身体の中で一番大きな関節で、意識的に動かさないと動きが悪くなりがちな関節です。 上半身と下半身をつなぐ重要な接続部分が固く動きにくい状態では、全身を往来する血液・リンパ・ホルモンなどの流れがスムーズではなくなってしまいます。
古くから相撲の稽古で行われてきたシコや腰割りなどの動作は、股関節周辺の筋肉や組織を刺激することで生体の流れが活発になり、新陳代謝が高まることで疲れがたまりにくく、取れやすくなります。 さらに、骨盤・背骨・膝・など全身のゆがみを整え、ケガをしにくい、ケガしても治りやすいといった効果も期待できるわけです。

 一ノ矢さんは琉球大学で物理学を修めた異色の力士ですが、ご自身の大きなケガをキッカケに鍛練法を研究するなかでシコや股割りの本当の大切さに気付いたそうです。
毎夏、高砂部屋の平塚合宿に来られ、朝稽古では年齢を感じさせない精悍な姿をお見掛けしていました。

 【注意】 
 元々、股関節や腰に持病のある方は無理は禁物です。
 ゆっくり軽目に続けていくことが肝心です。

2013年9月27日(金)
No.71 食品の裏側  /  なにを食べたらいいの?           安部 司    東洋経済新報社 / 新潮社

 「私達の望むものは」
 

 コンビニやスーパーで売られている弁当やお惣菜の裏側に貼られているシールには 
たくさんの添加物の名前が書いてあります。 普段あまり気にしないかも知れませんが
弁当やお惣菜に限らずほとんどの加工食品にはたくさんの添加物が使われていて、
そのおかげで私達は安くて、腐りにくくて、見た目がキレイで、ワリとおいしい食べ物をいつでも簡単に手に入れることができます。
 添加物を使わずにそれをしようとすると大変な手間とコストがかかりますし、いつでも簡単に入手できるというわけにはいきません。 食品添加物が氾濫する理由のひとつは、「私達の望むものを手に入れるため」 と云えるのかも知れません。

 2005年、普通の消費者が知らない食品製造の舞台裏を公開した「食品の裏側」は著者もびっくりするほど売れたそうです。 食品添加物の実態を知ると、身近な食品のことですから誰でもかなりのショックを受けます。 私は自分でも料理を作りますので、それなら一体「なにを食べたらいいのか?」と訊きたくもなります。
著者はもう一冊の著書で、その質問にもちゃんと答えてくれました。

 おかげさまで食品のパッケージをひっくり返すクセがつき、だしや調味料はなるべく手作りするようになり、料理全般が薄味に変わりつつあります。 

2013年7月31日(水)
No.70 号泣セラピー               竹内好美          青春出版社

  「 resilience レジリエンス (心の回復力) 」

 昔、若くしてガンで逝った友人の葬式で、韓国人の父親が死んだ息子の名前を叫びながら号泣して悲しむ姿を見て、驚いたと同時に胸を打たれたことを憶えています。
 日本では特に男性の場合、人前で泣くのは弱虫だとか自制心が無いなどとされて、素直に泣くことが許されない空気があります。 泣いても問題は解決しないかもしれませんが、泣くことで人は自ら癒され、心の回復に向かうことができます。 本著ではそのしくみと方法を分かりやすく教えてくれます。 

 大人が気兼ねなく思い切り泣ける場所や状況というのは、普通はあまり無いでしょうから竹内先生の「号泣セミナー」に通う方も多いのでしょうが、 必ずしも専門家の助けを借りなくても本著にある自己催眠を使うなどして自分を見つめ、無意識の自分と出会うことができれば、気持ちが楽になって前向きに生きることができるかもしれません。

 男女の脳梁の太さの違いが「泣きやすさ」の違いを生むという指摘は、男性にとってはとても残念なことですが、この国で男がもっと簡単に思い切り泣くことが出来るようになれば、電車に飛び込むような事態だけは避けられるのではないでしょうか。 

2013年6月12日(水)
No.69 自分は死なないと思っているヒトへ        養老孟司            大和書房

 「Memento mori メメント モリ (死を覚えよ)」

 18才の時、岩波哲男先生の哲学の講義で初めて知ったこの言葉「Memento mori」は、他の講義内容はすっかり忘れ果てた今も、何故か頭の隅にずっと残り続けました。
 ペストの脅威が蔓延しおびただしい数の人間が死んだ中世の修道院で、挨拶がわりに交わされた言葉だと云われますが、養老先生が指摘する、都市化され「死とウンコをできるだけ視界から遠ざける」ような生活をする現代の私達には、かなり縁遠い言葉なのかも知れません。

 死を必要以上に遠ざけるような暮らし方は、便利で快適でスマートな反面、ある種の危険を孕んでいます。 ひとつは政治や軍事の世界で、死を前提とする人達に抵抗できずその暴走を止めることができないかもしれないこと。 もうひとつは生命や健康や葬式、宗教に関する分野で、死に関わる専門職の人達の言いなりに振り回されたり、あるいは逆に振り回してしまうかもしれないこと。

 どんな人間でも死亡率は100%です。 「平和ボケ」などと馬鹿にされてきた日本人ですが、死といかに向きあうかをほったらかしにしては、より良く生きることができません。

2013年5月5日(日)
No.68 こころと遺伝子                      村上和雄             実業之日本社

 「エピジェネティクス ( 新しい生物学 ) 」

  ヒトゲノムの全解読が完了してから10年が過ぎ、その塩基配列が何を意味するのかがものすごいスピードで解明されて来ました。 やがて解ってきたことは、遺伝子は単なる生物の設計図にすぎず、その遺伝子情報を使って何を・いつ・どれだけ作るか、あるいは作らないか、つまり遺伝子のスイッチをONにするかOFFにするかは、細胞膜のレセプターが受け取るさまざまな信号によってコントロールされているということでした。  遺伝子だけですべてが決まるわけではないことが分かってきたのです。
 レセプターが受信する「さまざまな信号」にはホルモンや化学物質などの物質的なもの以外に、磁気・波動・意識・祈りなど非物質的なものも含まれていて、非物質的信号は物質的信号よりはるかに速いスピードで遺伝子に働きかけることも分かってきました。

 環境やこころの働きが遺伝子情報の発現と深く関わっている。 これは免疫力を構築する遺伝子情報も同様ですから、ヒトの健康はすでに書き込まれた遺伝子情報だけに運命的に左右されるのではなく、生活環境や生き方や信念によって支えられているというわけです。
 遺伝子治療、iPS細胞、DNA鑑定などという言葉を聞かない日は無いような時代に私達は生きていますが、遺伝子のことなど何も知らなかった時代の人々は、当たり前にそのように暮らしていたと思えるのですが。

2013年3月31日(日)
No.67 帯津式「首ツボ」だけで病気は防げる      帯津良一/柳沼良      主婦と生活社


 「日々の養生」

 東洋医学で「原穴」と呼ばれるツボはすべて手首と足首の周辺にあります。 さらに首の周辺にもたくさんのツボが集まっています。 この首・手首・足首にある主要なツボを日々の養生として押したり揉んだりすることで、身体中を巡る 「氣」 の流れを整え、血液やリンパや神経の流れをスムーズに保つことができれば病気は防げる、というのが本著のタイトルの意味するところです。
先進医療や再生医療の今の時代にツボですか? と云われそうですが、そんな時代だからこそ、今は当たり前のように思われ、行われている医療や健康に関する事柄を見直す必要があるのかも知れません。
 
 帯津先生の「首ツボ」療法はいつでも、どこでも自分で出来るセルフメディケーションです。 安全で費用もかからず、コツを憶えて効き目を感じられるようになれば、こんなしくみが自分の身体にあったことに驚き、そしてうれしくなってくるでしょう。

 少し前にヨーロッパで発見された約5,200年前のチロリアン・アイスマンのミイラの身体につけられた入れ墨は、現在知られているツボの位置と同じでした。 5,000年以上に亘って培われた人類の智慧をあらためて見直したいものです。
 

2013年2月21日(木)
No.66 加温生活                 伊藤要子          マガジンハウス

 「HSP ( 熱ショックタンパク質 )」

 人間の身体は水分を除くとほとんどがタンパク質です。 そのタンパク質を様々なストレスから守り、壊れたら修理し、修理不能のものは処分する、これがHSPの仕事です。 熱や力などの物理的刺激や精神的なストレスによって生成するHSPが、私たちの身体を、基の基のレベルで守ってくれています。 

 HSPの存在が報告されたのは1970年代で、日本ハイパーサーミア学会が1984年に設立されて温熱療法に関する科学的研究が様々なされてきました。
人間も動物も温熱が身体に良いことは経験的に知っていて、昔から世界中に色々な方法で身体を温める温熱療法がありましたが、このHSPの知見によってそれらの治療法のメカニズムがより科学的に理解できることになりました。 さらに、本著のように日常生活の中で手軽にHSPを効率良く増やす 「健康法」 として知られるようにもなりました。 バンダナの伊藤要子先生に広めていただいたおかげです。 

 昨年来、火曜日と土曜日の 「マイルド加温入浴」 と、他の曜日にはリラックス入浴や、西式温冷浴を混じえて、その効果を実感しています。  温度計、タイマー、そして保温用のバスローブと靴下などの準備を整えてから入浴するのが習慣となりました。

 
2013年1月25日(金)
No.65 ルルドの奇跡             エリザベート・クラヴリ       創元社


 「信仰と病気の治癒」

 
聖書にはイエスが様々な病人を治す場面が描かれています。 キリスト教に限らず、病気に苦しむ人が救いを求めて宗教と深い関わりを持つことは昔も今も変わらずにあります。

信仰による奇蹟的な治癒を信じるか信じないかはさておき、フランスのルルドには年間数百万人もの人々が病気を癒しに訪れています。

 

無血刺絡療法の長田裕先生がガン患者さんに向けて書かれた養生法の冊子には「感謝と祈り」という項目があります。 長田先生はノーベル医学・生理学賞を受賞したアレキシス・カレルがルルドにおいて2度の奇跡的治癒を観察した体験記に触れて、感謝や祈り、笑いや愛情といったプラスの感情が免疫システムに働きかけて病気の治癒につながる可能性を説かれています。

 

宗教なんて排他的で不寛容で、金ピカの仏壇や金儲けに偏ったり、戦争やテロの口実に使われたりしてロクなもんじゃない、けれども、人がより良く生きるために欠かせないものでもあります。

「病気が治る」とはどういうことなのか?あらためて考えさせられます。


2012年11月17日(土)
No.64 ランニングと脳  -走る大脳生理学者-    久保田 競        朝倉書店


 「47歳、BMI=29からのランニング」

 大脳生理学者の久保田先生が、あるキッカケから走り始めたのは47歳で、その時のBMIは約29でした。
年齢はともかく、過体重、運動不足からのスタートですから、まともに走れるようになるまでには相当なご苦労があったことでしょう。

 本著ではそのランニング体験を、専門の神経生理学の知識と体育生理学をおりまぜて分析してくれます。  副題のとおり 「走る大脳生理学者」 が、走り始めてから起こった身体や意識、食事、性格や嗜好などの様々な変化と脳の働きについて、わりと詳しく教えてくれますから、ビギナーにはもちろんですが、ベテランランナーにも参考になる内容に富んでいます。 さらに、奥様が書かれた1章には、家人や周りの友人の反応がリアルに表れていて、これも大変参考になる内容でした。
 あれもこれも乗り越えて、走り続けることで素晴らしい世界が開けてくる。
市民ランナーが増えている理由はまさにそこにあるわけですね。

 有名ランナー、一流トレーナーのランニング本が数多く出版されていますが、1981年の初版以来30年以上読み継がれている本著はランニング本の名著です。

2012年10月15日(月)
No.63 スロージョギング健康法           田中宏暁        朝日新聞出版

 
 「乳酸閾値とフォアフット着地」

 毎日短い時間を使って、笑顔を保てる程度の軽いペースのスロージョギングを続けることで運動不足を解消して心も身体も健康になれる。 
 運動不足が直接・間接の原因となって起こる糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病を予防するために、中高年の方が長く安全に続けられる方法としてこのスロージョギングはかなり有望だと思われます。

 筋肉が疲労すると出る乳酸が、溜まり始めるギリギリの境界を乳酸閾値(LT)といいますが、それを越えないペースを保って走れば疲労感が少なくエネルギーを消費でき、無理なく必要な運動を続けることが出来ます。 そして、その程度の軽い運動でも、きつい運動に匹敵する効果をもたらすことが田中先生の研究で明らかになりました。
 もうひとつ。 足指のつけ根から着地するフォアフット着地なら、かかとから着地する場合と較べて約1/3の衝撃ですみ、膝などへの負担が少なく効率良い推進力を生み出せます。

 スロージョギングの効果は健康の維持・管理のレベルに留まらず、田中先生は自らこのトレーニング理論を実践することによって50歳フルマラソンで2時間40分を切る記録を出したのだそうです。 スゴイ!!

 

2012年9月3日(月)
No.62 「思考の老化」をどう防ぐか           和田秀樹        PHP新書

 「平均年齢43.8歳」

 日本人全体の平均年齢は43.8歳で、モナコの45.5歳に次ぐ世界第2位 (2008年統計) の高さです。  同じアジアの韓国(36.4歳)、中国(33.6歳)、インド(25.1歳)などと較べてみると、かなり高いことが分かります。

 年齢を重ねることでヒトの思考は成熟していきますが、やがて前頭葉の萎縮や神経伝達物質の減少などの器質的劣化とともに、柔軟で創造的な思考がしにくくなるのは避けられません。 自分の考えに頑固に固執し、他人の苦しみや悲しみを思いやることが出来なくなってしまう、それが 「思考の老化」 です。
 それでも、前頭葉をアクティブにすることで、年齢に縛られることなく 「若々しく」「人間らしく」生きることは可能だと、この本で和田先生は教えてくれます。

 近頃よくメディアで見かける高齢の政治家の発言を聞いて 「何故あんなに偉そうで、かたくなで、強硬なんだろう?」 と考えるとき、彼を選んだ約260万都民の投票行動も含めて、この国全体の思考がかなり老化しているのでは? という気がしてなりませが、本人に病識が無いのが「思考の老化」の特徴でもあります。

2012年8月15日(水)
No.61 腸内革命               藤田紘一郎           海竜社

 「細菌とヒトの共生」

 皮膚の常在菌が他の細菌の侵入を防いだり、腸内細菌が消化を助けたり、病原菌を排除したり、ビタミンやセロトニン・ドーパミンを作ったり・・・などなど。 
これらの細菌の働きが無くてはヒトの生命は成り立ちません。 まさに細菌とヒトは「共生」しています。

 ヒトの腸の中に100~200兆個(!)位いると言われる腸内細菌は、免疫力を支える免疫細胞の70%を作り出します。 この腸の中の様子は、便の状態からある程度知ることができますが、驚いたことに日本人の便の量はこの50年で半分以下に激減しているのだそうです。 食べ物の変化で腸内細菌のエサとなる食物繊維が減り、運動不足やストレスの影響で生息環境が悪化したことなどがその原因と推測されます。

免疫力の維持・向上に欠かせない腸内細菌を、どうすれば活性化できるのか? そして除菌や殺菌をし過ぎることの弊害について藤田先生は分かり易く教えてくれます。

 ちなみに私の大好きなグリコの「ビスコ」は 「 乳酸菌が5枚当り1億個入っています」 と箱に書いてあります。
「乳酸菌1億個」って、多いのか、そうでもないのかよく分からない世界です。

2012年7月11日(水)
No.60 朝食を抜いたらこうなった          甲田光雄        春秋社


 「一日二食主義」

 五年前、この本棚の二冊目に登場した石原結實先生の 「一食抜き健康法」 をキッカケに始めた朝食抜きでしたが、その後紆余曲折を経ながらも現在まで続いています。
こんなに簡単で有効な健康法が何故もっと広く普及しないのか? それどころか
医療や栄養学の関係者からバッシングされたりするのはどうしてなのか?
ずっと不思議に思っていましたが、本著を読んでその謎が解けました。

 「朝食を抜いたらこうなった」 というタイトルのとおり、この本には朝食を抜いたおかげで現れる良い効果だけではなく、様々な不具合、すなわち朝食抜きを実践する際に生じる様々な壁についても詳しく書かれています。
空腹感をはじめとして胃痛・頭痛・めまいなどが出現したり、今までにあった症状が
実行前より強く感じられたりする好転反応や、周りの人々が心配する程の体重減少のこと、さらに医療業界の内部事情の壁についても言及します。
そして、多くの人々がその壁を乗り越えることが出来ずにつまづいてしまいます。

甲田先生はその壁を上手に乗り越えるための助け舟としてこの本を書いてくれました。
おかげさまで、一生ブレることなく朝食抜きを貫いて行けそうな気がしています。

 

2012年6月5日(火)
No.59 バランスボールダイエット          中野・ジェームス・修一      主婦の友社


 「インナーマッスルを鍛える」

 身体の深い位置にあり、主になる筋肉を助けて動作を調整したり、姿勢を安定させる働きをするインナーマッスルは、アンバランスな状況で身体を使う時に盛んに働き、鍛えられます。 球形のバランスボールに乗りさまざまな動作をすることでインナーマッスルが鍛えられ、それと同時にダイエット効果も得られるというわけです。

 ふとしたキッカケで使い始めてから2カ月、手足を離しても座れる頃には身体のゆがみが修正されてフォームが安定したからでしょうか、ジョギングをするのが楽になったような気がしています。 テレビを見ながら、食卓の椅子がわりに、パソコンを使いながら等々、四六時中乗っかっては腹横筋やら腸腰筋などなつかしい筋肉名を思い出します。  ただし、バランスボールを使っていて腰痛になった患者さんを診た経験もありますので、この本の中野先生が教えてくれるような基礎知識をふまえてから始めるのが賢明かと思われます。

 リハビリなどの医療用にも使われているバランスボールは、以前かなり流行した時期があったそうですから、家の片隅に忘れ去られたバランスボールがある方が多いかもしれませんね。

2012年5月2日(水)
No.58 生体リズムと時間治療          吉山友二/大戸茂弘         薬事日報社

 
 「時計遺伝子」

 人間の身体は地球の自転や公転、さらに他の天体からの宇宙リズムと連動した生体リズムを刻んでいます。 1日のリズム・7日のリズム・ひと月のリズム・四季のリズム・1年のリズム等々さまざまな周期がありますが、この生体リズムを作り出すために時計遺伝子と呼ばれる遺伝子群が身体中の細胞に存在しています。 
 そしてこの時計遺伝子の研究の進展によって病気や老化との関係が明らかになり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病から、3大疾病のがん・心疾患・脳卒中などあらゆる病気の発生に、この時計遺伝子が深く関わっていることが分かってきました。

 本著では薬と生体リズムの関係を研究する「時間薬理学」の立場から、薬の投与時間や投与方法を工夫することで副作用がより少なく、効果をより高くできる可能性について疾病ごとに分かりやすく説明されています。 そして生体リズムに従って規則正しく生活することが何故大切なのかも教えてくれます。

 それにしても。 本著を読んで10年来使ってきた薬の使用時間が間違っていたことを初めて知り、かなりショックを受けました。 今まで誰も教えてくれなかった。

 

2012年4月5日(木)
No.57 温泉と健康              阿岸祐幸                  岩波新書


 「温泉医学の元祖」

 江戸時代中期の医者・後藤艮山 (ごとうこんざん) 先生は、高価な薬や権威にばかり偏る旧弊の医術を嫌い、温泉と熊の胆と灸、さらに食養生を熱心に勧めました。 陰陽の気を整え、気の留滞を解く温泉の効能に注目し、古代から脈々と受け継がれてきた温泉の効能に初めて医学的アプローチを加えたお医者さまでした。 
 
 日本は世界でも有数の温泉国なのですが、医学レベルの温泉研究機関が乏しく、 旅館の設備や豪華な料理の情報に関心が偏りがちです。  せっかく温泉に行くのなら短期日での浸かりすぎ、食べすぎ、飲みすぎを避けて、静かに身体を休める事が本当は一番大事なのですが。  本著には温泉や自然療法に関する基礎知識がコンパクトにまとめられており、温泉を再認識するための絶好の入門書となっています。 

 外国人観光客の来日目的で 「買い物」・ 「観光」 をおさえて第一位が 「温泉」 という調査結果もあるそうで、古代から培われた日本の温泉文化は世界に誇れるものです。  
 「テルマエ・ロマエ」が話題になるのも、そういう素地があるからなんですね。

2012年3月1日(木)
No.56 禁酒セラピー               アレン・カー            KKロングセラーズ


 「酒は百薬の長」

 今から約二千年前に中国の王莽(おうもう)という奸智の男が、酒を専売にしようとたくらんだ時に使ったこの 「酒は百薬の長」 という言葉は、今日に至るまで飲酒の言い訳となり続けました。 本来の意図とはだいぶ違った意味で一人歩きをしたのです。

 本著ではこの「適量の酒は身体に良い」かのような幻想を全否定して、お酒とは
「誰にとっても何の益もないただの毒である」 と主張します。 
アレン・カーさん自身がお酒で苦労したそうですので、なかなかリアリティーと説得力があります。 適量も飲み過ぎもない、乱れるも乱れないもない、アルコールくらい恐ろしく、巧妙で、馬鹿馬鹿しい飲み物は無い! とバッサリ切り捨てます。 

 「禁煙セラピー」を読んで煙草をやめてから4年。 昨年この本を書店で見た時、読もうか読むまいか少し迷いました。 「禁煙セラピー」の成功体験からすると、この本を読めばきっと酒をやめることになるだろう。 今の自分にそれほど酒をやめる必要があるだろうか? という迷いでした。 

 そして案の定、この本を読んで酒をやめてしまいました。
 もっと早くこの本と出会いたかった。 天国のアレン・カーさんありがとう。
 

2012年2月1日(水)
No.55 ポックリ死ぬためのコツ         佐藤琢磨              アスペクト


 「健康寿命も世界一」

 自分で食べ・自力で排泄し・自力で移動でき・会話ができる状態
これを健康(自立)寿命と呼びます。 日本では女性が78歳、男性は72歳で、平均するといわゆる平均寿命と同じくやはり世界一なのだそうです。
 健康寿命と平均寿命との差は7~8年。 この期間を病気に苦しむことなく元気に長生きしてコロリと逝く、いわゆる 「ポックリ死」 は本人はもちろん家族にとっても願わずにはいられないことでしょう。 日本各地にあるぽっくり寺や、ころり観音、ぴんころ地蔵等々に参詣する人が絶えない所以です。

 本著で述べられている 「ポックリ死ぬためのコツ」 は高齢者に限らず、あらゆる年齢で健康に生きるためのコツでもあると云えそうですが、とりわけ 「古脳の活性化」 については身体の発するサインに素直に耳を傾けることで、とかく大脳偏重になりがちな生活を見直すキッカケになるように思えます。

 昨年2月にスタートした厚労省の 「スマートライフプロジェクト(SLP)」 は内容からするとまさに 「ポックリ推進運動」 と呼ぶべきものなのですが、昨今は何にでも 「スマート」 を付けないと気が済まないみたいです。

 

2012年1月2日(月)
No.54 心の深みへ - 「うつ社会」脱出のために       河合隼雄 / 柳田邦男         講談社

 「心の豊かさ」

 物が豊かになれば次にもっと難しい問題、すなわち心の問題が起こってくる。 
これは、どんな国の社会にも共通して見られる傾向です。 物が豊かで便利ではあるのですが、時間に追われ、自然との交わりは少なく、感情表現を制限されるような暮らしの中に 「心の豊かさ」 を求めるのは難しいことなのかも知れません。

 臨床心理の河合先生が述べておられます。 「私の持っている知識とか技術で治るような簡単な人はめったに来ません」 あとは格闘する。 自分から見れば間違っているとか、弱いと思う人ともちゃんと対話する。相手に寄り添う。 そんな切羽詰った状況の中から見えてくるものがあると。  

 20世紀初めのフロイトの登場を待つまでもなく、無意識の世界へのアプローチはそれまでもなされてきました。 心の健康をどのように構築するかについて様々な先人の智恵が残されていますが、それらは理性的に自己を律することの限界に気付き、無意識とどう対話し開放してゆくかが鍵になるようです。 
 意識の奥、無意識の世界を傷つけたり抑え込んでばかりいると 「心の豊かさ」 はやがて失われてしまいます。

2011年12月1日(木)
No.53 悲しんでいい  - 大災害とグリーフケア -         髙木慶子        NHK出版新書


 「グリーフケア」

 人は大切なものを失った時の悲しみとどう向き合えばいいのでしょうか? 
 あるいはまた、そのような悲しみを抱えた人とどう関わっていけばよいのでしょうか?

 グリーフとは「悲嘆」を意味します。 

災害や人の死がもたらす深刻な悲嘆の感情
亦、人災における加害者に向ける激しい怒りのエネルギー
さらに、加害者自身が負わなければならない心の痛み
・・・・・・・
・・・・・・・
人の心と身体はひとつのものです。 
計り知れないほど大きく深く激しいこれらの感情に対処し、なおかつ健康に生きてゆくにはどうすればいいのか。 知識としての理解を越えて、感じ取らなければならない大事なことがこの本には書かれています。

2011年11月 2日(水)
No.52 驚異の視力回復法         中川和宏        三笠書房


  「VDT症候群」

 パソコン・テレビ・携帯端末などの画面をVDTと呼びますが 「VDT症候群」 は長時間それらを見続けることで起こる、いわば目の生活習慣病です。 
現代の生活スタイルからすると、この状況からはとても逃れられそうもありません。 視力低下やドライアイをはじめ身体の痛みなどの身体症状、抑鬱・不安感などの精神症状などその影響は多岐にわたり、とくに子供の場合はその影響が大きい。 視力の低下は集中力・記憶力・理解力などの低下に直結してしまいます。 もちろん大人でも目の老化や障害への早道となってしまいます。 

 著者はビジョン・セラピー(視力療法)によって、薬剤や視力矯正手術に頼ることなく目の機能を回復させる専門家で、この本には29種類の目のトレーニング法が紹介されています。 近視、乱視をはじめ白内障・緑内障・黄斑変性などにも威力を示すさまざまな自己トレーニングがあり、パソコンや読書にへこたれない「強い目」は自分の努力で作ることが可能なのだと云います。

 眼科にかかる時の長い待ち時間は相変わらずのようですが、あの時間を使ってこのようなトレーニングを普及するといった発想が、どこからか出てこないものでしょうか。

  

2011年9月30日(金)
No.51 能に学ぶ「和」の呼吸法          安田 登          祥伝社  


  「過敏な国民性」

 
メンタルヘルス対策と謳われて企業や学校でカウンセラーが引っ張りだこだったり、駅の近くには必ず心療内科があったりする昨今ですが、1998年以降に年間の自殺者が3万人を下回ったことはありません。
山本七平氏が「空気の研究」で述べたような狭い風土環境で暮らし続けるために回りの雰囲気を敏感に察知する気質は良くも悪くも日本人の特徴で、何事にも過剰に反応してしまう。 それとは裏腹に水に流してすっかり無かったことにしてしまう、驚くほどの忘れっぽさもあります。 そして自死を必ずしも「悪」や「醜」とは捉えない宗教観あるいは精神的土壌があるようにも思えます。

 著者の安田登さんは、「心が過剰に敏感」なのと「ストレスに弱い」のとは違うと云います。 日本人が古来から活用してきた、ストレスを行動エネルギーに変えて前進するすべを本書では主に呼吸法を通して示されています。

 安田さんが能楽師と同時にロルファーでいらっしゃることから、「ストラクチュラル・インテグレーション」という言葉を今回始めて知りました。 そこからさらに、かつての同級生が認定ロルファーになっていたことを知りました。 素晴らしい!

2011年8月30日(火)
No.50 観音力              玄侑宗久           PHP.E.G


  「ホメオスタシス」

 人間の身体を構成する60兆個もの細胞はすべて細胞外液という液体に囲まれています。 この液体は温度や組成、pHや浸透圧などが驚くほど安定に保たれていて、そのおかげで細胞は安全に活動できるのですが、この安定を支える為に身体にそなわった数千種類とも云われるフィードバック調節機構が調和して働かなければなりません。 
 これはすごい仕組みです。 生きているだけで奇跡みたいです。 この仕組みのことを米国の生理学者ウォルター・キャノンは「ホメオスタシス(恒常性)」と呼びました。
 一方、人間の身体の外側の環境を考えてみると、それは元々安心して安全に生きられる安定した環境ではありません。 自然環境をはじめ家庭・地域社会・職場から国家や地球全体にいたるまで長く続く安定とは縁遠い、むしろ加速度をつけて損なわれていくような不安すら感じさせます。

 この本の著者、玄侑さんは芥川賞作家で臨済宗のお坊さんですから、仏教のお話になります。 身体や心の病に冒されたり、大きな環境の変化に苛まれた時に仏教は 「人の助けとなり、生きる智慧となる」 そういう仕組みとしての宗教の役割りを
分かり易く教えてくれます。
 
「観音力(かんのんりき)」 とは状況に応じて変化してゆくチカラなのだそうです。

2011年7月31日(日)
No.49 死ぬときは苦しくない        永井友二郎         講談社        
 
  「人生は苦なり」

 お釈迦様は六年の苦行の末に人生とは苦であることに気付きました。 そして自分を超えることができました。 そんなに苦労しなくても人生が苦しいのは分かる気がしますが、自分を超越するのは容易ではないのかもしれません。

 永井先生は医師になると同時に海軍軍医として激戦の修羅場へ送られ、多くの兵士の死に臨みました。 そして自ら重傷を負いながらも奇跡的に生還されました。 その時の経験と、その後開業医として多くの患者の死を見取る中で 「死ぬときは苦しくない」 という事実を確信するに至ります。
呼吸と心臓の拍動が止まるよりずっと以前に意識がなくなり、いよいよ最期の時は痛みも苦しみもなく安らかに逝くという事実。 この事を永井先生から聞かされた患者さんの多くは 「良い事を教えてもらった。 不安がひとつ消えました。」とおっしゃるそうです。 

 16世紀フランスの軍医アンブロワーズ・パレの 「時に癒し、しばしば支え、常に慰む」 を彷彿とさせます。

2011年6月30日(木)
No.48 ウイルスと人間         山内一也         岩波書店


  「3兆2千億円」

 つい先日、B型肝炎訴訟で国と原告団が和解し、そこで支払われることが決まった和解金は3兆2千億円。  とてつもない金額です。 ウイルス性肝炎といえばフィブリノゲン製剤からC型肝炎に感染した薬害肝炎問題も記憶に新しい。
被害に遭った方々の気持ちは計り知れませんが、
後を絶たない医療過誤や薬害の後処理費用はいずれ私達自身の負担となって帰ってきます。

 今月、おかしな風邪のひきかたをした事がキッカケでこの本を再読してみました。
生命の誕生以来この地球上に存在したとされるウイルスが、どのように人間と関わってきたのか? それは詰まるところ「共存共栄」だったのですがさかしらな人類の行いは長い目でみれば自らそれを裏切る行為なのかも知れません。 

 SARS、鳥インフルエンザ、エマージングウイルスなどの脅威に今までと同じ方法論で対抗して、莫大な授業料をこれからも払い続けなければならないのでしょうか。

2011年5月30日(月)
No.47 記憶                        前野隆司               ビジネス社


 「記憶力が悪くなった?」

 「記憶」 という機能は、あらゆる変化に対応して生物が生き残るためにそなわっているのだそうです。 そのしくみを単純に云ってしまえば、必要のあることは記憶し、そうでなければ忘れる。 年を重ねればそれまでの経験による記憶の在庫が山ほどありますから、似たような最近の経験は記憶しなくても困らないから忘れてしまうわけです。  ですから年をとって記憶力が悪くなった、などと悲観することはありません。 

 前野先生が研究されている「幸福学」では、成熟期における「至福」の段階になると
脳は忘れるほど幸福になれるといいます。 人は今 (現在) しか生きられないのだから、過去の記憶に縛られたり、未来の欲求に支配されたりしてばかりいると幸せになれませんよ、というわけです。 
記憶と幸福感との話は認知症にもおよび、もちろん大変な思いをされているご家族や周りの方々のご苦労はあるかもしれませんが、決して認知症を不幸と考えるべきではないとも云います。

 日々記憶が苦手になる自分を省みて、雲門禅師の「日々是好日」のような心境になれるのなら、それはそれでいいかも知れないと思ったりするわけです。

 

2011年4月23日(土)
No.46 病気がイヤなら「油」を変えなさい!          山田豊文            河出書房新社  


  「60,000,000,000,000個の細胞」

 ヒトの身体は約60兆個の細胞からできています。  細胞の形や大きさは様々ですが、あらゆる細胞は厚さ100万分の7ミリ程度のうすい「細胞膜」に包まれており、その「細胞膜」はたんぱく質と油からできています。 ですから人間は油が無くては生きて行けません。

 食事から摂る油によって「細胞膜」の性質が決まり、さらにそこから由来する「局所ホルモン」の性質も決まってきます。 本書では油の摂り方が非常に偏っている現代の食生活や近年話題になっている人工的に作られた危険な油 「トランス脂肪」が、身体に及ぼす悪影響について警鐘を鳴らします。 
普段何気なく、しかも頻繁に口にする食品に含まれている 「トランス脂肪」。 ニューヨーク市やカリフォルニアで使用が禁止されたというニュースは知っていましたが 「日本人はあまり油を摂らないから大丈夫です」 という日本国の対応は相当甘いんじゃないでしょうか。

 多くの人が罹る病気と、多くの人が食べている食品とはやはり因果関係があるのでしょう。 スナック菓子やクッキーや揚げ物など、気なる油を使っているものが食べづらくなってしまいました。

 

2011年3月21日(月)
No.45 「平穏死」のすすめ             石飛幸三                       講談社


 「世界一の長寿国」 

 年金詐取がらみの行方不明高齢者はさておき、統計上日本は男女合わせた平均寿命が世界で一番長いのは周知のとおりです。
平均83年 (WHO統計2010年) の最期をどのように過ごし、旅立つのか。 とくに本人が意思表示できない場合などには、家族や医療者はむずかしい判断をせまられる事もあります。

 石飛先生は外科医として40年以上患者とかかわり、その後「特別養護老人ホーム」の常勤医になり、それらの経験からこの本を著されました。
サブタイトルは 「口から食べられなくなったらどうしますか」。
医療技術の進歩は人工的に生命を維持させることを可能にする一方で、延命第一主義からの弊害を生み出します。 あるいは亦「死」を遠ざけようとし過ぎる現代の風潮があるのかも知れません。 延命の処置を施すために病院と施設を行き来しながら世界一の長寿は支えられています。

 石飛先生の云われる「平穏死」のすすめは、画一的な延命処置にとらわれ過ぎず、自然で平穏な死を支えること。 
その為のしくみ作りの方向を示してくれています。

2011年2月19日(土)
No.44 笑いと免疫力              吉野槇一                     主婦の友社

 吉野先生はリウマチ医療のパイオニアです。
外科的・内科的アプローチに加えて患者の心理的な側面に着目され、 ユニークな「笑い」「涙」「全身麻酔」の実験を通して「脳のリセット」のしくみを示してくれました。
 
 この本はとても平明に書かれていますが、じつに深く濃い内容に富んでいます。 
「笑い」と「涙」は高度に脳を発達させた人間にとって、心と身体の調和を保つために
具えられた とても大事なしくみだということがよく分かります。 
最近では「ラフターヨガ」 などでも笑いの効用が注目されていますが
「よく笑い」 さらに「しっかり泣き」 そして「好きな事に程よく熱中する」 
こういう習慣が病を遠ざけてくれるわけですね。

 この本棚にも免疫に関する本がいくつか並んでいますが、それらを集約すると
「なるほどこういう事なのか」 と目からウロコが落ちました。

2011年 1月17日(月)
No.43  経皮毒             竹内久米司/稲津教久             日東書院     


 「経皮毒」とは皮膚や粘膜から体内に取り込まれる様々な有害化学物質のことです。

洗剤・化粧品・シャンプー・歯磨き粉・芳香剤・薬 などに含まれる多種多様な合成化学物質は10万種類を超えると云われ、私達はそれを含んだ無数の日用品に囲まれて暮らしているわけです。  毎日繰り返し使うことで体内に少しずつ蓄積され、やがて「原因の分からない障害を引き起こす」 とは云うものの、因果関係の証明が難しいために安全基準などにはひっかからずに使われ続けてしまいます。
 その影響は母親から胎児へ世代を超えてもたらされる。大変深刻な事態が地球規模で進行しています。
この本ではそのような現状を先ず知ること、そして有害化学物質の摂取を予防する方法と体内に取り込まれてしまったものを排泄する方法について教えてくれます。

 街のドラッグストアに置かれているほとんどの製品は該当してしまいそうですが、面倒でも 「かしこく選ぶ努力」 が必要になります。 
「落ちない口紅」「驚きの白さ」「ツヤツヤになる」等等 そんな一見すばらしい効果をもたらす物質に「危険」 がひそんでいるのかも知れません。 

2010年11月21日(日)
No.42 ナンバ健康法/ナンバ式骨体操           金田伸夫          三笠書房他


 「体を操る」と書いて「体操」。
 保険医療費を減らすためのOTC薬もけっこうですが、健康管理の基本は栄養と休養、そしてこの「体操」ではないでしょうか。

 「ラジオ体操」を筆頭に星の数ほどたくさんある体操の中で、
この「ナンバ式骨体操」は筋肉のストレッチではなく骨格の動きを中心に身体に無理がかかりにくい古武道の動きに由来する体操法です。
 物を持つ、立つ、座る、歩く、などの日常生活の動作ひとつひとつに応用できるナンバの動きの基礎として、自分の身体の骨の動きを知るという感覚が12種類の動作で合計3分間の骨体操で分かるようになります。 さらにこの骨体操を習慣化することで腰痛や肩こりなどの予防・改善にも役立ちます。 

 初めのうちはついやり過ぎて痛みが出たりもしましたが、身体が慣れてくると動きが楽になってきます。 さらに進んでナンバ健康法にある「眼輪筋の体操」をしたり「ナンバ走り」を朝のジョギングに取り入れてだんだんナンバの良さが分かってくると、 「ナンバ走りで久々にマラソン走ってみようかな」 などと無謀なことを考えたりしてしまいます。

2010年10月24日(月)
No.41 「長生き」が地球を滅ぼす   本川達雄   阪急コミュニケーションズ

 
 これはかなり物騒なタイトルですが、歌う生物学者でおなじみの本川先生はずっと以前からこのテーマを 「生物学的時間論」として説いておられます。

 ヒトの大きさで80年も生きる動物は人類以外には存在しません。 
これまで人間が経験したことのない超高齢化社会。 
未曾有の出来事ですから経験に基づく指針はどこにもありません。

科学技術や経済は善悪や人間の幸不幸などには責任を負うことなく、私達をある方向へ導いています。 本川先生の云う「科学教の信徒」にどっぷりと漬かって、「大丈夫、そのうち科学の進歩が何とかしてくれる」 とたかをくくってその便利さに安住しています。

莫大なエネルギーを費やして人工的に生み出されたこの「長寿」は、未来のエネルギーを前借りしてものすごいスピードで使い尽くそうとしているかのようです。
本川先生はこの長い長い老後の時間をどのように使うべきかをこの本で説いてくれます。 本当の意味で「健康で長生きする」。 とても難しい問題を扱っています。

 

2010年8月29日(日)
No.40 毒を出す食 ためる食         蓮村 誠           PHP

 
 今回はアーユルヴェーダです。 インドの「アーユルヴェーダ医学」は人の健康を増進し、病気を予防する智恵として、数千年間変わることなく継承されてきました。 本書ではこのアーユルヴェーダの智恵を最新の物理学や神経科学によって検証した「食に関する40の法則」 を具体的に分かり易く教えてくれます。

 例えば Q :おしゃべりしながら食べると健康に良いってホント?
       A :ウソです。

       Q :魚は肉よりヘルシーってホント?
       A :ウソです。

こんな具合に一問一答、小気味良く答えて行きます。
もちろんその理由が続きに書いてあり、読んでみると今まで常識と思っていたような健康知識(?)がアッサリくつがえされてしまったりします。 
 医学博士の蓮村先生は病理学者からスタートして、何故かこちらの道の権威となられた方のようで 「自分で20年近く試して書いているから信頼して大丈夫です」 と云っておられます。  私自身試してみて、これはなかなか良いと実感したものがいくつかあって、続けてみる価値が充分ありそうです。

 インド5千年の智恵はあなどれません。
 

2010年8月5日(木)
No.39 身体が「ノー」と言うとき      ガボール・マテ      日本教文社


 たとえば「怒り」などのネガティブな感情をうまく表現することができず心の奥にたくさん溜め込んでしまった時、それがいつか身体の不調として現れてしまうことがあります。
 

 カナダの医師ガボール・マテは長い臨床経験の中で、いわゆる難病患者の中のある共通点に気付きました。  それは彼らが「ノー」と言えないこと。  よくよく調べてみると彼らは家庭や学校や会社など自分が置かれた様々な環境の中で、それまで「ノー」と強く否定することをしてこなかった。 そして、その後まるで身体が代わりに「ノー」と言うかのごとく深刻な病に陥ってしまった。
本書では各種の自己免疫疾患・がん・アルツハイマー・ALSなどについて具体的な症例を使って、どのようにしてその患者が難病に至ったかを教えてくれます。

 東洋医学で病気の原因のひとつを 「七情の乱れ」 と捉えることについては、以前この本棚でも触れました。 「怒、喜、思、悲、憂、驚、恐」 どれも、過剰や長期間の偏りは身体の不調をもたらします。  自分の内面に気づく力を養わなければなりません。
 


2010年6月29日(火)
No.38 西式健康法入門        西会本部編          平河出版社


 昭和の初めに西勝造氏が創始したこの西式健康法は、今でも連綿と受け継がれて日本の各地で根強く支持されているようです。 

 「治療法や健康法を扱った本」について、この本棚では自分で試して効果が確認できたものを取り上げています。
この「西式健康法」でもいろいろ試してみて、効果を実感したわけですが
今回は偶然、この西式健康法をご両親の代から受け継ぎ、子供の頃から70代の現在までずっと実践して来られた女性に詳しくお話を聞くことが出来ました。
私のような付け焼刃の「お試し」ではなく、長年にわたり培ってこられたノウハウは実に興味深いものがありました。 
四肢・栄養・皮膚・精神の基本原理からはじまり、運動法・入浴法・就眠法など西式健康法には具体的な方法がたくさんありますが、達人曰く、「長く続けるコツ」 は自分の年齢や体力に合わせて、その時その時、自分にとって最良の西式を作って行く事なのだそうです。

「温冷浴のために家の浴室にふたつ浴槽があるのが西式ではフツーですよ」
サラリと、そうお話しされたのがとても印象的でした。 
浴室に浴槽がふたつあるお宅は西式が濃厚です。

2010年5月27日(木)
No.37 腸イキイキ健康法          後藤利夫                       主婦と生活社

 
 消化器の本が続きます。

 口から肛門までの長さは約10m。 消化器の形状をごく単純にたとえるなら 「ちくわの内側の穴」のようなものです。 身体の内側にありながら外界と接している、それゆえに外部の悪影響を受けやすいとも云えます。 この消化器は、仮に脳に損傷を受けて中枢の制御機能を失ったとしても、脳に頼らずに消化吸収の仕事をやり通す能力を与えられています。 (これはすごいしくみです!)

 腸にはたくさんの細菌が生息していますが年齢とともに、あるいはストレスや抗生物質の影響などで悪玉菌が増え善玉菌は減ってしまいます。 悪玉菌の増えた腸で作られる「有害物質」 は血管の老化を早めるとともに様々な悪影響を全身におよぼして行きます。
 それゆえに腸の状態は健康と美容に大きな影響力をもっていると云われるわけなのです。

 この本では「腸をイキイキと健全に保つ」様々な方法を教えてくれます。 それにしても
ハリウッドの女優さんたちが 積極的に美と健康のために コロンハイドロセラピー(大腸洗浄つまり浣腸です) をフツーにやっているというのは本当なのでしょうか。

2010年4月26日(月)
No.36 歯磨き健康法             島谷浩幸      アスキー新書


 高齢者の「口腔ケア」を学んでみると、口の中を清潔に保つことの大切さがあらためて良く分かります。 
口の中には400~500種類もの細菌が生息していて、虫歯や歯周病のみならず、細菌の増殖によって糖尿病や肥満の進行、骨粗しょう症、早産などがもたらされるメカニズムがこの本では分かりやすく書かれています。

 自分の場合を考えてみると、20年以上前からデンタルフロスや糸ようじを使っていたおかげで歯ぐきだけは良い血色だと思うのですが、これまで 「細菌の繁殖」 をイメージできたことはありませんでしたから、たぶん歯磨きはしっかりできていなかったと思います。 鼻呼吸をいくら熱心に心掛けても、口の中が細菌だらけではあまり意味が無いことも分かりました。
この本のおかげで歯磨きに対する認識が改まり、それ以来島谷先生の提唱する「スローブラッシング」を日々実践することになりました。

さらに。 この歯磨き習慣を始めて良かったことは、食べたあとの歯磨きの煩わしさから「間食」が激減したことです。 「お菓子なんて、いつでもどこでも簡単に食べられる」 という甘えをくつがえす、素晴らしい副産物でした。 

2010年3月25日(木)
No.35 無病の快挙           富士村 寿         朝日新聞社

 富士村寿さんがどんな方なのか詳しく分かりませんが、74歳(2005年出版時点)まで病気というものをしたことがない、薬を飲んだことも検査のため病院へ行ったことも一度も無いとおっしゃる。 それはたしかに驚くべき「快挙」です。

 この快挙を支えたのは富士村氏の云う 「適度の理論」。 ここで「適度」とは過剰も不足もない 「真理としてすべてに相通じる完全さ」 という意味で使われています。
一見簡単なように見えて、続けるには大変努力を必要とすると思われるその内容をまとめてみると。

 ①姿勢を正しく保つ             ⑦合成添加物を摂らない
 ②よく歩き、こまめに身体を動かす    ⑧水をよく飲む
 ③深い呼吸                  ⑨早寝早起き
 ④規則正しい食事              ⑩物事を肯定的にみる
 ⑤よく噛んで楽しく食べる          ⑪明るい気分で暮らす
 ⑥新鮮なものを多くの種類食べる

 これらを偏ることなく「適度」に実践する。
健康に限らずどんな難問に当たっても「適度」を尺度にして全方位を考えることで解決が見えてくる、ともおっしゃっています。

「健康な時に、健康の有難さを知る」 そういう本ですね。

2010年2月13日(土)
No.34 脳梗塞と脳出血           篠原幸人       主婦の友社   

 
 動脈と静脈と毛細血管、一人の人間の血管を全部つなげると地球を二周半する長さ ( 約10万㌔ ) にもなります。 その長い血管のどこかでトラブルが起こる。
それが脳や心臓で起こると事態は深刻です。
日本人の死因の第2位である脳血管障害と、第3位の心疾患を足すと、第1位のがんを抜いてトップになります。 血管や血流を良い状態に保つことは健康にとって何より大切なことなのです。
また、脳血管の小さな障害が少しずつ積み重ねられて認知症を招来するという研究もあり、高齢化の加速する日本では避けて通れない問題でもあります。

 脳の血管に何かトラブルが起こった時、身体の発するサインには 
① 手足のシビレや震え     ⑥ 首筋から頭が重い
② めまいや耳鳴り        ⑦ 目の前が暗くなる
③ 呂律が回りにくい       ⑧ 声がかすれる
④ 階段を降りるのが怖い    ⑨ 立ち上がるとふらつく
⑤ ものが二重に見える     ⑩ 感情の起伏が激しい
 などなどたくさんありますが、自覚症状の少ないいわゆる 「かくれ脳梗塞」も多く、MRIで調べてみると50歳代で二人に一人にはすでに起こっているとも云われています。

 普段の食事や活動による血管障害の予防と、本人にしか分からないようなかすかな兆候をあらかじめ知っておくことは、自分の命を救う大きな助けになります。

  

2010年1月1日(金)
No.33 医療が病をつくる (免疫からの警鐘)     安保 徹   岩波書店

 
 前回の「あいうべ体操」は自律神経免疫療法の実践編でしたが、この本にはその元になった考え方が書かれています。
 健康って、あるいは病気って一体何でしょう? 安保先生の免疫の本を読むとつくづくその事を考えてしまいます。


 感染症や外傷に対する現代医学の絶大な威力は素直に認めるものですが、検査漬け・くすり漬けの医療体制の中で昔より医者の数はずっと増えているのに 「医師不足」 などと聞かされるのには疑問を感じざるを得ません。
どっさり薬をのむことで維持している (と思い込んでいる) 健康って、あるいは大した意味も無く繰り返される検査って何なのでしょう。

 「医療が病いをつくる」 その構造について安保先生は免疫学の立場から解明していきます。 人間に備わった身体を守る精緻なしくみが、複雑な社会や文明による急激かつ危険な変化にさらされながらも頑張っているところへ、原因を見誤った医療が免疫を弱め、症状の改善を遅らせてしまう実態を、一般書にしてはかなり詳しく解説してくれます。 どこか戦争と兵器産業との関係を彷彿とさせますね。

 この本が出版されたのは2002年。 その翌年に「免疫革命」が出てベストセラーとなり 福田・安保理論が広く認知されることになりました。

2009年11月19日(木)
No.32 口の体操 「あいうべ」       今井一彰        マキノ出版

 
 世の中にはじつに様々な治療法があります。 自分でできる「○○体操」とか「△△療法」というのもたくさんあります。 そういう自己治療の中で、この、まるで演劇部の発声練習みたいな「あいうべ体操」はなかなか良さそうです。 

 口呼吸が原因となる 「免疫力の低下」 を改善するために、口と舌を動かすこの体操は、鼻呼吸と舌の位置がポイントになります。 膠原病・アレルギー・高血圧・うつ病・潰瘍性大腸炎などに効果が期待できるそうですが、 どれも現代医学でなかなか改善しにくい病気です。 鼻呼吸を心掛けて日々この体操を実践することで、自律神経のバランスを整え自然治癒力を高め、様々な難治性の症状に良い効果が確認されているようです。

 ある種の病気は、普段の何気ない行動の積み重ねが原因になり得ます。 長期化したり難治化する病気では、その根本を改善することが治療のカギになるわけです。 
この体操のアイデアはいいですね。 今井先生のようなドクターにかかりたい。

 それにしても、鼻と肺を結ぶ「気道ルート」と、口から消化器への「食道ルート」が咽頭部で開放されているのは人間だけだって知ってましたか? 動物は口呼吸が出来ないのです。 これは本当に驚きでした。 さらに、この本の中の症例の患者さん達が顔写真で出てくるのに驚きました。 この治療法と今井先生に対する信頼の現われでしょうか。 

2009年10月28日(水)
No.31 依存症                  信田さよ子       文藝新書

 
 何かに依存する。 それがやがて「やめたくても、やめられない」ものとなる。 その対象はさまざまで、酒・たばこ・薬物(合法/違法)・買い物・ゲーム・ギャンブル・セックス・追っかけ・いじめ・信心・食べ物等々。 並べればキリがありません。 真面目に仕事をしたり、勉強したりする事だって、見方によっては一種の依存なのかも知れない。 

 この本で信田先生が指摘するのは、その事によって周りの人が迷惑するかどうか という点です。 自分自身がそれによっていくら困っても、全ての責任を自分で負うのならそれはそれで仕方ない。 問題は伴侶や友人、同僚や部下を繰り返し傷つけてしまうようなケースです。  さらに、自分の子供の将来にまで影響を及ぼすとしたら 何とかしなくてはなりません。

 この本棚の2007年に「神経症の時代」でも触れたように、人間が自分の思い通りになる事は、手足の筋肉を動かすようなほんの僅かなことだけで、それ以外は身体も心も思い通りにはなりません。 まして他人の思いや行動などを思いどうりにすることなど論外でしょう。 (実際には、かなりこれが行われているのですが)

 精神薬理学や神経生物学の進歩による、いわゆる「ハッピードラッグ」が新しい依存を生むような今の時代に、私達はどのように生きて行けばよいのでしょうか?
大乗仏教の教え「般若心経」では、形あるもの「色」と、精神活動を表す「受・想・行・識」を合わせた「五蘊」は空だと教えます。 身体も心も一瞬も立ち止まってはいないのだと。

 

2009年9月26日(土)
No.30 病院で死ぬということ           山崎章郎     主婦の友社

 
 約20年前に出版され、がん告知や終末期医療について一般向けに問題提起したこの本は大変話題になりました。 2005年現在の在宅死亡率は全国平均で15.1%。 残りのほとんどは病院で亡くなっていることになります。

 事故などによる思いがけない死。 心疾患や脳血管の破綻による急死。 そして、がんによる死。 人の死に方は様々ですが、人はいずれ必ずその時を迎えなければならない事だけは確かです。 

 「自分はどんな死を迎えたいか? どこで? どんな風に?」

 医療情報などが簡単に得られる今の時代にあっては、がんの告知や終末期医療のとらえ方は20年前とはかなり様変わりしているのかもしれません。
どういう治療を受けたいか、それとも受けたくないか。
ぽっくり逝くのか、あるいは病気と向き合ってゆっくりと最期の時を迎えるのか。 
お一人お一人の問題です。
 たとえばがんの専門病院では、もはや「告知するか告知しないか」という議論をする段階ではなく 「いかに事実を伝え、その後どのように患者に対応し援助していくか」
という時期にきているといいます。 スピリチュアルな問題への対応も含め、確かにそれがとても大事なことだと思います。 

 20年前にこの本で取り上げられた終末期医療の影と光は、今も、いや今こそなお警鐘を鳴らし続けています。

2009年8月18日(火)
No.29 がん治療の常識・非常識    田中秀一   講談社ブルーバックス

 
 現在、日本人の3人に1人はがんで死んでいます。

 あらゆる事故死、脳卒中、心筋梗塞、感染症、遺伝病、自殺、他殺等々・・・人の死亡原因は様々ですが、がんで死ぬのが3人に1人という統計からは、がんにかかる事、そしてがんで死ぬ事は「特別な不幸」ではなく、ごく普通の出来事と考えていいでしょう。

健康本の中でもがんに関する本は群を抜いて多く出版されていますが、その中でこの860円の新書に注目した理由は
 ①医師・研究者(医療提供者)ではなく、新聞記者が書いている。
 ②この約40年間の国内外のがん関連情報を全体的に捉えている。
 ③製薬会社・医療機関などの思惑に影響されない (たぶん)。
 ④がんにかかった患者の視点で「がん」を捉えている。

 がんのがんたるゆえんは、自分の細胞から発した悪者ゆえに、退治する役目のリンパ球などを騙すテクニックを10年20年の歳月をかけてがん細胞が磨いているところです。
 「がんは一日にしてならず」 がんになるにはそれなりの深い理由があるわけです。 
がん保険に入って「医療費保障」という安心を買って済ますのか、それとも、がんにならないような生き方を模索してみるのか?
この本のサブタイトルは
「患者にとっての最良の選択とは?」となっています。

 キャンサーエイジならずとも読んでおきたい本です。

2009年7月2日(木)
No.28 糖尿病は薬なしで治せる       渡邊 昌       角川書店

 
 東洋医学で 「消渇」 といわれる糖尿病は、中国はもちろんのことインドやエジプトの古代文明にもその存在が確認されていますが、約80年前にインスリンが発見されたのは、まるで今日の糖尿病の蔓延を予期したかのようなタイミングでした。
 
 じつにたくさん出版されている糖尿病に関する本の中で、この本は少し物議を醸しそうなタイトルの本ですが、とくに境界型と診断された方や、そろそろインスリンの分泌が弱って来る年代の方々には大いに参考になる内容です。 

 自分の健康を薬や病院だけに頼りきることと、必要な治療を意味もなく忌避してしまうことは、どちらも同じように危険です。 
怖がらず、面倒がらず、まず正しい知識を得ることから始めなくてはなりません。
糖尿病対策の基本は「食事と運動」ですが、それは糖尿病のあるなしにかかわらず、健康のかなめでもあります。

この本は糖尿病と宣告された医師が書いたものですが、どんな立場の方でも、糖尿病に関してきちんと知っておくことは決して無駄ではないと思います。 

2009年5月21日(木)
No.27 脳の中の幽霊 / 脳の中の幽霊、ふたたび      ラマチャンドラン        角川書店

 科学革命 その①「コペルニクス的転回」、その②「ダーウィンの進化論」、その③「フロイトの無意識」 これらを可能にしたのは人間の脳です。 
周辺技術の発展に支えられて、神経科学はしだいに人間の脳そのものについて、そのしくみと働きの詳細を解き明かしつつあります。

 近年の脳トレブームもそのひとつの現れでしょうが、とくに注目したいのは神経科学がもたらす精神科領域の疾患に対する理解の進歩です。 脳のしくみの全貌が明らかになることは、様々な精神疾患を抱えた方たちの苦しみを和らげ、社会の偏見を変える原動力となり得ます。

この二冊の本では 「幻肢」や「シャルルボネ」 など非常に興味深い症例を掘り下げて、最先端の脳科学を分かりやすく説明してくれます。 
しかも、翻訳本にしてはくどい言い回しが少ないので、読みやすいのが有難い。
 (著者がインド人だからでしょうか?)

2009年3月31日(火)
No.26 電磁波シンドローム     クヌート・ジーファース  人間と歴史社


 電磁波が人の身体に及ぼす悪影響については、この本棚の2007年10月「電気とからだ」で少しだけ触れましたが、身の回りにあふれる電磁波の量は加速度的に増え続け、人類がこれまで経験したことの無い状況に直面しています。 

 この本の著者はドイツ人で、ドイツ国内の電磁波の氾濫や対策の遅れをさかんに批判しておられますが、「日本に比べたら全然ましじゃないか!」と驚いてしまいます。

 白内障・頭痛・めまい・不整脈・血圧異常・免疫低下・腫瘍の成長などなど、人体に広範な害をもたらし、助長すると言われる電磁波はベンリな家電製品や事務機器からもひっきりなしに発生します。 しかしこれら無しに現代の生活は成り立ちません。
一体どうすればよいのでしょうか? 
この本ではテレビ・電子レンジ・パソコンなど具体的な製品それぞれの電磁波レベルとその対処法を細かく教えてくれます。
そして著者は、行政や公的機関は何とかしてはくれませんから、自分自身で対策しなくてはなりませんよ、と強く主張します。 

 プラグを抜いたり、アースを引いたり、機器を遠避けるといった細かい工夫の積み重ねが大事のようです。

  

2009年2月28日(土)
No.25 導引              久司道夫          日貿出版社

 
 玄米を食べ始めて半年。 たぶんそのおかげでしょう、御飯を食べると元気が湧くという感覚は、サッカーをしていた中学校以来久々に味わうものでしたし、
ひきやすかった風邪もひかなくなりました。
「健康のために自分で出来る事の基本は先ず食事だ!」という思いから始めたマクロビオティックでしたが、勉強してみるとその背景にあるものは大変深く、長い歴史の中で培われた 「叡智の集大成」 であることが分かってきました。 
 大きな書店にはマクロビオティックのコーナーが設けられるほど多数の関連本が出版されていますが、その本の中でも、導引をマクロビオティック健康法として取り上げた本書は最もエキサイティングな内容を含んでいます。

 導引とは前史時代から発達してきた体操のようなものと云えばよいでしょうか。
その特徴をあげると
①一人で、道具を使わず、いつでもどこでも出来る
②無理のない普通の動作を使って、身体と精神の両方に作用する
③人の存在そのものを見直し、深く知ることが出来る

 「長く苦しい修行の果てに」 ではないところがいいですね。
 ブームにならないのが不思議です。 (ブームなのかな?)

2009年1月27日(火)
No.24 健康モーツァルト療法         和合治久        春秋社


 モーツァルトの楽曲が心や身体に良いという話を聞いたことがあるでしょうか? 
モーツァルトを聴くと 「心が癒される」 「元気がみなぎる」 「気分が爽快になる」などの効能が楽曲によって様々得られるという話は、2006年がモーツァルト生誕250年だったこともあり多くのメディアで取り上げられました。 
 和合先生は免疫学の専門家で、音楽が人の神経系・内分泌系・免疫系にどのように作用するのか、そしてそれは何故起こるのかをこの本で教えてくれます。
 他の治療法との併用も自在な音楽療法は幅広い分野で改善効果を示します。

①心身医療・・・花粉症、糖尿病、肥満、胃潰瘍、高血圧、喘息、自閉症
②緩和医療・・・痛みや不安の緩和、精神の安定
③脳神経障害・・・認知症、パーキンソン病、難聴、耳鳴り  などなど

 もちろん病人に限らず健常者ならなおさら、音楽を楽しみながら、ストレスを和らげ、免疫力を高め、意欲的に生きることができますね。 しかもその原理からするとモーツアルトに限らず特定の周波数の音源であれば、演歌でもヘビメタでも効果を得られるかもしれません。
 良い本に出会いました。

 

2008年12月22日(月)
No.23 2008 健康の本棚大賞!!!        「 禁煙セラピー」   アレン・カー      KKロングセラーズ

     2008 「健康の本棚大賞」 決定!!
  「禁煙セラピー」 KKロングセラーズ

 今年、この本のおかげでタバコをやめることができました。 ありがとう。
 アレン・カーさん あなたはエライ!

 この本のキーワードは「洗脳」。 
従来の禁煙法が、黒く汚れた床をデッキブラシでごしごしこすって白くきれいにするやり方だとすると、 この本ではいきなり白ペンキを床にぶちまけて白くしてしまうようなものです。 デッキブラシでこするやり方ではなかなか白くはならないので途中で挫折してしまいますが、白ペンキをぶちまけてタバコの事はすっかり無かったことにしてしまうと、意外にも脳はあっさり騙されてしまうのです。 
 喫煙の習慣をある種の洗脳の結果と捉えて、洗脳を解くのは大変だから、その上から禁煙で洗脳してしまえばOKというわけです。

 こんなに楽に禁煙できるのですから、このやり方を使わない手はありません。 禁煙補助の薬剤などを求める前に、この本を読んでみて下さい。 タバコをやめたいと思っているあなた (いや、喫煙者は多かれ少なかれ皆やめたいと思っているはずです) この本を読まない理由が何かありますか?

2008年11月14日(金)
No.22 輸入食品の真実            小倉正行      宝島社

 
 日本で消費されるうなぎの約80%は輸入品です。
でも、うなぎに国籍があるのかどうかはよく分かりません。
「中国産」でも「浜名湖産」でも「大隈半島産」でも正しく表示されていればかまわないと思うのですが、内外価格差につけ込んで消費者の心理をあざ笑う「産地偽装」だけは許せませんね。

農薬や抗菌剤の残留問題でさんざん叩かれてから、輸入うなぎは国の「命令検査対象品」となり、現在では輸入食品としてはめずらしく(?) 監視の目が行き届く状況におかれています。 それでもなお、抗生剤などの残留違反があとを絶たないのですが。 

 私のような無類のうなぎ好きにとってショックなのは、ヨーロッパウナギがあらたにワシントン条約の規制対象品になった事です。  これが巡りめぐって、2009年から日本で流通するうなぎの量が激減するので、価格の高騰は避けられないとのことです。

Q:「食料自給率40%、世界最大の食料輸入国はどこでしょう?」  A:日本国

最近は小学生でも答えられます。
 
でも、輸入食品の90%は無検査だったり、検査しても結果が出る頃にはすでに胃袋の中に消えている事は知りませんでした。 
輸入食品にまつわる様々な問題には、この粗いザルのような検査体制が背景にあります。 
 しかしもちろん、そうならザルを得ない食料輸入量の多さが元凶なのですから、毎日の食事を一人一人がどうするかを真剣に考える必要があります。 
お役所の政策にたよるだけで、何とかなるような問題ではないでしょう。

 

2008年10月14日(火)
No.21 ベジタリアンの医学           蒲原聖可      平凡社新書


 ファイトケミカルやオーガニックについて勉強すると、やがてベジタリアンに行き当たります。
欧米では成人の2~3%がベジタリアンだそうですが、日本ではあまりポピュラーではないようで、私自身この本を読んで初めて知ったことばかりでした。 ベジタリアンにもいくつかのタイプがあり、少し工夫すれば何とか実践できるものもありそうですね。

 なぜベジタリアンなのか? それには環境負荷や動物愛護の視点も大いにうなずけますが、実践したいと思わせる一番の理由はやはり「病気の予防効果」でしょう。
ガンをはじめとする生活習慣病・痴呆・更年期障害・・・などなどにかかりにくい事が疫学的に証明されています。

肉や砂糖はたしかに美味しいかもしれないけれど、身体にはとてもキケンな食品だということをキチンと知っておくのは大事ですね。

地球上で8億人以上が飢えている一方で、その倍の16億人以上が過体重で病気の予備軍といわれている現代。 そして「食品の安全」の以前に食糧危機が身近にせまる時代でもあります。 
子供達の前で「大食い」をもてはやしたりしてはいけません。

  

2008年9月8日(月)
No.20 三石理論 分子栄養学          三石 巌       現代書林


 三石巌先生は物理学者です。 ですから先生が提唱する「分子栄養学」は、徹底して科学にこだわります。 
食品を分子あるいは原子レベルまで追求し、化学的な性質を見極め、それが生理学的にどんな作用を人体に及ぼすのか、さらにそれが病理学的にはどんな病態をもたらすのか、徹底的に科学的に究明していきます。
細かすぎて全体が見えないのでは?という心配は三石先生に関しては無用です。 ここまで分析してみせることで、初めて理解できる全体像があるのです。
 三石理論を約一年間実践してみて、これは続ける価値があると判断できました。
毎日の食事はとても大事で、人の健康と直結するものです。
自分の健康は自分で守りたいとお考えならば、この三石先生の著作をひもといてみてはいかがでしょうか? 少し時間はかかるかも知れませんが、きっと役に立つはずです。

 80年代に出版された三石先生の著作集は平塚図書館で借りることができます。


2008年7月31日(木)
No.19 ポアンカレ予想      早川書房    ジョージ・スピーロ


 その昔、天動説の時代。太陽系の惑星の運行は、ありもしない複数の円軌道を想定することで無理矢理説明されていました。
 地動説を使えばスッキリ簡単に理解できるわけですが、必要以上に複雑で難解にはなるものの、天動説でも説明することは可能なのでした。

東洋医学を勉強しているとき、これに似たような分かりにくさを感じることがあります。
もう少しスッキリと説明できないものかなと。 

「遠絡療法」はこの辺のもどかしさを、ある意味でそれこそスッキリと説明してくれます。
創始者の柯尚志先生が独特の方法論で示したものは、今後どのように発展するのでしょうか。 

 さて、この本は世界中の数学者が100年かかって解けなかったポアンカレ予想を解いた数学者の話ですが、宇宙の構造や余剰次元について語られています。 現代数学のトポロジー(位相幾何学)やフラクタル(自己相似)を使って人の身体の小宇宙を探索する時代がもうそこまで来ている。 本書を読んでいるとそんな気がしてきます。 人体や生命について誰にも分かり易く、びっくりするほど優れた新しい見解の登場。 わくわくしてきますね。

今年の夏は数学やりましょう。 

2008年6月15日(日)
No.18 シンメトリーな男          竹内久美子        新潮社  


 二ヶ月前から、ある理由で指の治療・指の健康法に関する本を20冊ほど読んだ中で、治療や健康法とは一見何も関係ないように思える 「動物行動学」 のこの本が何故か一番面白かった。 

 人の指が長かったり短かったり、左右対称だったりそうでなかったりするのは何故なのか、それらが意味する本当の理由を最新の研究から明快に解き明かします。  

今まで、この健康の本棚で扱った本の中で、一番ショックな本かも知れません。
物の見方や価値観が変わってしまうほどに。 
こういうことは中学か高校あたりで (小学校女子の生理レクチャーのように) 
ちゃんと教えておいて欲しかったなと思います。

生き物が互いに競争するのは、避けられない現実ですが、その理由をこういう視点から理解しておけば、悩みすぎたり、深く絶望したりせずに生きていけるのかも知れません。

2008年4月28日(月)
No.17 禁煙セラピー      アレン・カー          KKロングセラーズ


 タバコ会社にとって、この本は恐ろしい本です。 この本が普及すれば、みんなタバコをやめてしまうから、タバコ会社に未来はありません。
 

 本の原題は「easy way to stop smoking」 その名のとおり、この本を読むだけで簡単にタバコがやめられます。 私の場合は本屋で偶然手にしたこの本の帯に、品川庄司の品川君が「不思議だけどやめられますよ」とコメントしていたのに惹かれて買い求め、読んでいるうちに本当にやめてしまいました。 つまり、読み始めてから2時間くらいでタバコをやめることが出来たのです。 つらくも何ともありませんでした。 たぶんこの先一生タバコは吸わないだろうと、ひと月半たった今は確信しています。

 スゴイですね。 この本にもっと早く出会いたかった。
たった945円(税込)でタバコがやめられます。 素晴らしい!!
(昨年2月に、この本棚の「たった5日でできる禁煙の本」で失敗しましたが、今回は自信をもって世の中の喫煙者全員にお勧めできます)

2008年4 月 2日
No.16 ヒトはなぜ病気になるのか       長谷川眞理子      ウェッジ

 「ヒトはなぜ病気になるのか」 このストレートな疑問は医学的な立場からではなく 「進化生物学」 の立場から発せられたものです。 ヒトの病気や健康について、その善い悪いは抜きにして、進化の過程でどうしてそんな事が起こるのか? この本ではそれを中心に考えています。
 
 テレビや活字でよく目にする「病気のメカニズム」の解説や予防法・治療法の知識ではなく、そもそも何で病気になるのか? どうして病気なんてものがあるのか? そんなふうに考えることはあまりないですね。 でも深刻な病気に罹ったりすると「何故自分が?」と、こういう疑問が湧いてきたりするものです。
 本書の中で一番興味を惹いたのは、米国の人類学者ホークスによる「おばあさん仮説」。 繁殖力を失ったのちも元気で長生きするメス(つまりおばあさん)は、自然環境ではヒト以外に存在しないそうです。 この事が人類にとってとても重要な意味をもつというのです。
 面白いですね。

2008年2月16日(土)
No.15 ウイルスは人間の敵か味方か    畑中正一      河出書房新社


 この50年間の分子生物学の進展によって、DNAやウイルスの実態が明らかになるにつれて 「生命とは何か?」 という問いかけの答えは、かなり核心に近づきました。

科学の力はさまざまな病気の原因がウイルスに由来していることを明らかにして、これまで人々を苦しめてきたいくつかのウイルスに勝利して大きな恩恵を得ることに成功しました。 しかしそれはやがて、地球の生命誕生の黎明期から存在していたウイルスの、ほんの一端に触れただけなのだということに、ようやく気づかされたのでした。

 地球の直径の1000万分の1が人間の子供の身長で、その身長のさらに1000万分の1がウイルスの大きさになります。 地球に住む人類と、人体に棲むウイルスの不思議な符合です。  この本のタイトルの答えはたぶん、「ウイルスは人間、いや全ての生物の共存者である」 ということになるかと思います。 そしてその問いは 「人類は地球にとって敵か味方か?」 と問うているのと同じ意味に聞こえます。 

2008年1月3日(木)
No.14 疑う技術 「ウソを見破る9つの視点」  藤沢 晃治      PHP新書 

 中高年の方に一番の関心事を訊くと 「自分自身の健康」と答える人が6割を超えるという調査結果があります。 食が足りて肥満が蔓延する先進国では、どこもこういう傾向があるそうです。
 メディアには病気や健康に関する情報があふれ、林立するドラッグストアには医薬品やサプリメントがあふれています。 その中から、何を信じて、どれを選ぶか? これは案外骨の折れることで、安易に選んでひどい目にあう危険も少なくありません。

 この本で取り上げられた、ウソを見破るための9つの視点のうち半分以上は健康や医療にもからんでいます。 子供だましのようなものから、国の承認を得てなお繰り返す薬害まで、人の無知や弱味につけ込み、お金をせしめるだけでなく、より酷い状況に追い込んでしまうような治療や薬品は、食品の偽装より以上に深刻な側面を含んでいます。

 「疑う技術」が必要な世の中なのですね。

2007年11月23日(金)
No.13 呼吸の真髄 コツのコツ   永田 晟    講談社


 医学博士の永田先生は呼吸について何冊も本を著しています。 
その中で先生が言っているのは、すべて腹式呼吸の効用です。

「腹式呼吸」は何がどういいのでしょうか?
 その効用を並べてみると

1.副交感神経を優位にして自律神経のバランスを整える。
2.高次脳神経の機能を沈静化させる
3.ストレスに対する耐性を高める
4.血圧を下げ、循環生理機能を整える
 ・・・などなど、いいことだらけです。

しかも、これを実践するのには一円もかかりません。 「お腹をへこませて
長く息を吐く」 これを日々行えば健康にいいのですから簡単に続けることができます。

2007年10月22日(月)
No.12 絵とき・電気とからだ              谷腰欣司    日刊工業新聞社

 人間の身体は電気の作用で成り立っています。 神経も筋肉も細胞間の微弱な電気作用によって活動しており、それは電磁波などの影響を受けやすく出来ています。 とくに成長期の子供や妊婦はアブナイ。
小児ガンや異常出産の比率が増えたり、成人でも白血病・脳腫瘍・白内障などを誘発するという報告がなされています。
 電磁波の発生源は身の回りにあふれていますが、携帯電話や電気毛布などは身近で長時間使う点でキケン性が高いといわれています。

 イギリス政府は2000年に16歳以下の携帯電話使用禁止を通達し、ドイツ小児科学会でも2001年に「子供の使用制限」を勧告しています。

 ケータイ電話で長話をしていて耳のうしろが熱く感じたことはありませんか?  もしかしたら、頭痛やイライラの原因はそれかもしれませんね。

2007年9月14日(金)
No.11 神経症の時代 「わが内なる森田正馬」   渡辺利夫 TBSブリタニカ


 人は誰でも不快な気分に陥ることがあります。 神経質な気質をもって生まれた人は、この誰にでも起こる不快な気分に過敏に反応したり病的に執着したり、やがて強迫観念にはまり込んで自分と回りとの関係を正常に保てなくなってしまいます。 
 ストレスだらけの社会がそれに拍車をかけ、今では正常と異常の判別は「事件になるかならないかだけ」などという怖い状況に陥っているとも云われています。

 自分の心身の中で自由になるものと云えば 「随意筋に連なる末梢の器官」 だけしかありません。 その他の内臓器も、そして精神もほとんど不随意すなわち自分の思い通りになどならないのだから、頭で考えた自分の都合のいいようにやりくりする事など元々無理なのだ、と森田正馬は云います。 
人生は諸行無常であって、つねに「不安心」であるという心で、あるがままにいればそこに安心がある、とも。

10数年前にこの本を初めて読んだ時より、状況はさらに悪化しているように思えます。

2007年7月30日(月)
No.10 突然死タイプ                 山澤?宏      洋泉社


  「急な発症から24時間以内の内因性死亡」と定義される突然死の原因の7割以上は狭心症や心筋梗塞などの心臓病です。

人間の心臓は受精後3週間で原初的な拍動を開始し、その後死の瞬間までひと時も休むことなく動き続けるわけですが、それがある日突然に破綻してしまう。 この本の「タイプA」とは突然死を起こしやすい人間のタイプということです。 臨床例から導き出された共通する特徴とは?
 ① 相手に不必要な敵意を持ち、競争心が強い
 ② 相手が不快に思うほど、必要以上に大声で話す
 ③ 早口で怒りっぽい行動を示す
などなど、他にもありますがなるほど確かに見かけますねこういうタイプの人を。 また食生活や既往症など他にも要因はたくさんあります。

この本を読んでから夏と冬はジョギングをウォーキングに変えようと決めました。 大切な心臓に無理な負担をかけるのはやめましょう。

2007年7月10日(火)
No.9 痛みのサイエンス         半場道子         新潮選書


 東洋医学で人間は「氣」「血」「津液」の三要素から成っていて、それらが体内をスムーズに流れているのが健康、何かの原因で流れが詰まると様々な病気が発生すると考えます。
生まれた時から科学で育った者にとって、痛みの原因は「氣滞」「血?」「痰飲」などと説明されても、理解するのは容易ではありません。
 一方、この本の著者である半場先生は痛みについて最新の神経科学の立場から、難しい内容を大変分かり易く説明されています。 
「痛みは我慢していると、やがて深刻な長引く痛みに変る」 それは何故なのか? どう対処すればいいのか? この本を読むと分かります。

 世の中には人の弱みに付け込むような治療法や医療者が、残念ながら存在しています。
 そんなものに騙されないように、気をつけて下さい。

2007年6月18日(月)
No.8 社会的ジレンマ         山岸俊男       PHP新書


 「分かっちゃいるけどなかなか止められない生活習慣」 例えば喫煙、飲酒などの個人的ジレンマと、家庭や学校や地域社会あるいは国家、果ては人類全体が抱え込んでいる暴力や環境問題などの社会的ジレンマとは、じつは深いつながりがあります。 個人の心身の健康と、その周りの社会のあり方とは無関係ではない。 もちろんこれは健康問題に限ったことではありません。 周りに流されず信念を貫いて生きるには、いろいろな意味で人は賢くならなければならないようです。

健康の本棚に「社会心理学」の本が並んだのは、そんな理由からですが、
人がこれまで経験したことの無い大きな変化がすでに始まっているのは間違いありません。

  
 

2007年5月16日(水)
No.7 笑えば明日への希望わく        黄金澤雅奥     文芸社


 この本の帯に 「自律神経失調症歴24年! でも、笑いを忘れちゃいけないんダヨ~ン」 と書かれています。 本の後半に出てくる闘病記には自律神経失調症の怖さと闘病の苦闘が書かれていますが、よくよく読み込まないとこの本の実態に触れることはできません。 何故なら、たいがいの読者は唐十郎の戯作を読むような第一部、第二部でノックアウトされてしまって、作者の悲劇に気づかないままこの本のリングを去ってしまうからです。

 自律神経失調症は怖い病気です。 この病気と真剣かつユニークに闘っている一人の患者から発せられた 「笑いを忘れちゃいけないんダヨ~ン」 のメッセージには 万感の思いが込められています。

  悲劇はつねに喜劇のように語られる - ウィリアム・シェイクスピア

2007年3月26日(月)
No.6 不眠が治る「魔法の音」CDブック     篠原佳年  マキノ出版


 中国春秋時代の「黄帝内経」には不眠についての記述があります。紀元前にも不眠に悩む人はいたわけで、主に消化器系の障害と精神的な障害が治療の対象とされていました。
 現代では心療内科で服薬や自律訓練を受ける方も多いようです。
遠絡療法ではアトラスを中心とした生体の流れの調整をすることで良い効果を生んでいます。薬は飲みたくない
という方には是非おすすめします。

 それらの治療に加えて、これはかなり効果があると実感したのがこの音楽療法です。これはサヌカイト(香川県の五色台で産出される)という石で作られた楽器が奏でる高周波音を聴くことで聴覚のゆがみを矯正して安眠を得ようというものです。聴き始めて最初の頃から入眠に要する時間がかなり改善されました。このCDには数分間の曲が10曲入っていますが2、3曲目には大抵眠ってしまいます。

2007年2月22日(木)
No.5 スローフードな日本!             島村菜津   新潮社 

 中国古代では食事療法の専門医である「食医」は疾医(内科医)、瘍医(外科医)より上の筆頭位に置かれていたそうです。
「後天の氣」を養うための食事をいかに大事に考えていたかという事ですが、現代人にとっても食事が大事なことに変りはありません。。

ところがその大事な食事の内容、つまり農・水産物の現状がどうなっているかを少しでも知ってみると(おおげさではなく)背筋が凍ってしまいます。
鳥インフルエンザ、狂牛病、食糧自給率、遺伝子組み換え、抗生物質などのキーワードは知っているようでじつは何も分かっていないことに気づかされます。

質素でもいいから安全な食事を摂るにはどうすればいいか? この本にはそのヒントが詰まっています。 自分の身の回りから考えて取り組まなければなりません。

2007年2月7日(水)
No.4 たった5日でできる禁煙の本        林 高春       角川書店


 世に禁煙グッズは本当にたくさんあります。 噛む・飲む・なめる・吸う・貼る・聞く・見る・読む・走る・刺す・挟むなどなどキリがありません。
禁煙するのが趣味でタバコを吸っている、などというややこしい人までいるくらいです。

この本の初めに出てくるファガストローム博士の「ニコチン依存度テスト」で判定してみると
、私の場合は「軽度の依存状態」にあたるらしい。
とにかく実践あるのみ。 以前約3年間禁煙に成功していた経験を思い出してトライしてみることになりました。

そして、五日目に見事に失敗しました。 なさけないやらふがいないやら自己嫌悪の極みですが、この本ではそれを失敗とはみなしません。
その次のトライアルの出発だと思えばいいと教えてくれます。
明日からまた新しいトライアルが始まるのです。

2007年1月17日(水)
No.3 願いがかなう人になるシンプルな方法    石原加受子著 大和出版 


 東洋医学では病気になる原因を ①外因 ②内因 ③不内外因の三つに分けて、そのうち内因とは七情(怒喜思悲憂恐驚)の亢進、つまり過度の感情が病気の原因になると考えます。

強い怒り、深い悲しみ、長期間にわたる憂いなど誰にでも起こりうることですが、そういった感情をどう処理すればいいのでしょう? 
フタをして我慢する。お酒を飲んで発散する。相手に復讐する。等々。誰でもそれなりに対応しているはずですが、うまく処理できずに病気に至ったり、他人を傷つけたりするケースも多いのではないでしょうか。

本著のタイトルは今流行の「成功の法則本」そのままなのですが、感情と思考の性質の違いについて分かり易く書かれていて、これがちゃんと理解できていれば感情の過度の亢進や屈折はある程度回避出来るのではないかと思われます。
自分の感情を抑えすぎたり、無視したりせず素直に受け止めてあげれば「願いが叶う」かどうかは別として病気にはならずに済むような気がします。

2007年1月1日(月)
No.2 「一食抜き」健康法     石原結實著  朝日新聞社


 朝飯を食べるか食べないか。 どちらが健康に良いのでしょうか?

世の中にいわゆる「健康本」と呼ばれる本は星の数ほどありますが、平塚図書館だけで80冊を超える蔵書を誇る「健康本界の細木和子」あるいは「健康本界のDr.コパ」ともいうべき石原博士は「食べない派」の旗頭です。
サブタイトルに「生活習慣病なんて怖くない!」とあるように生活習慣病に悩む中高年世代の養生法としてこの先生の主張は見逃せないものがあります。
血液内科の専門医である石原博士の論旨は明快で、医者まかせ、病院まかせの現状から脱却して、自分の健康は自分で守るというごく当たり前のことがいかに大事かを科学的な論拠からとても分かり易く示してくれます。

年間の医療費が30兆円を超える長寿大国日本で、この30年間薬を飲んだことが無いと言い切る製薬会社泣かせの石原先生の言葉には説得力があります。

2006年12月15日(金)
No.1 脳死、脳死再論      立花 隆著  中央公論社


 東洋医学では、体内の陰と陽の氣が調和していれば健康であり、不調和となると疾病になり、氣が散逸すると死ぬとされています。


 ヒトもしくは生き物が死ぬ瞬間を見たことがあるでしょうか? その瞬間の前と後をよく観察してみると「氣」の存在をとても鮮明に実感できるはずです。

 西洋医学では臓器移植を背景にして死の瞬間の判断について大きな問題を抱えてしまいました。 この二冊の本には延々とそれが述べられていますが、しかしそこでは「氣」の存在について一切触れられることは有りません。 西洋医学的にそれは当たり前なのかも知れませんが、本当にそれだけでいいのか?とても心配になります。

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